2026年1月01日

いびきに悩む方へ〜横向き寝という選択肢
寝る姿勢を変えるだけで、多くの方のいびきが改善される可能性があります。本記事では、いびき改善における「横向き寝」と、誰でも今夜から実践できる正しい方法を詳しく解説します。
患者さんに最もお伝えしたいのは「まずは姿勢から見直す」ことの重要性です。
なぜ仰向け寝がいびきを引き起こすのか
いびきの主な原因は、気道の狭窄(狭くなる)です。
仰向けで寝ると、重力の影響によって舌や喉の奥にある軟口蓋(なんこうがい)が下に落ち込みやすくなります。その結果、空気の通り道である気道が狭くなり、呼吸のたびに空気が通りにくくなってしまうのです。
このとき、狭くなった気道を無理に空気が通ろうとすると、喉のやわらかい組織が振動し、あの特徴的ないびきの音が発生します。
特に注意が必要なのは、肥満傾向の方や加齢で筋力が落ちている方です。
喉まわりの筋肉の張りが弱まると、仰向けで寝たときに気道がさらに狭くなりやすくなります。
また、お酒を飲んだあとや疲れているときも、体の筋肉がゆるみやすくなるため、
普段はいびきをかかない人でも、一時的にいびきが出やすくなることがあります。
気道狭窄がもたらす健康リスク
いびきが慢性化し、気道が繰り返し狭窄することで、睡眠中の酸素飽和度が低下し、脳や心臓への酸素供給が不十分になる可能性があります。これが「睡眠時無呼吸症候群」へと進行すると、高血圧や心疾患、脳卒中のリスクが上昇することが分かっています。
横向き寝がいびきを改善するメカニズム
気道の確保
横向きの姿勢では、舌や軟口蓋が重力によって横方向に移動するため、気道の中央部分が確保されやすくなります。仰向け寝と比較して、気道の前後径が広く保たれるため、空気の流れがスムーズになり、組織の振動が抑制されます。これにより、いびきの音量が減少するだけでなく、睡眠時無呼吸のリスクも軽減される傾向があります。
いびきの音量の低減
さらに、横向き寝は「いびき音」の音量そのものを低減させる効果もあります。家族やパートナーへの影響を軽減できるという点でも、実用的な価値が高い方法と言えるでしょう。
ただし、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。重度の睡眠時無呼吸症候群や、肥満度が高い方の場合には、横向き寝だけでは十分な改善が得られないこともあります。その場合は、CPAP療法や口腔内装置などの医療的介入が必要になる可能性があります。
今夜から始める横向き寝の実践方法
横向き寝を習慣化するには、いくつかのポイントがあります。まず重要なのは「寝返りを防ぐ工夫」です。多くの方は、無意識のうちに仰向けに戻ってしまうため、物理的に姿勢を保持する仕組みが必要になります。
抱き枕を活用した姿勢安定化
抱き枕を胸の前で抱えることで、自然と横向きの姿勢が安定します。また、上側の腕や肩への負担も軽減されるため、朝起きたときの肩こりや腕のしびれを予防できます。
抱き枕は、体の半分程度の長さがあるものを選ぶと良いでしょう。硬すぎず柔らかすぎない、適度な反発力のあるものが理想的です。最近では、横向き寝専用に設計された抱き枕も市販されており、膝の間に挟む部分が一体化したタイプもあります。
背中にクッションを配置する方法
背中に物理的な障害物を置くことで、仰向けに寝返りを打つことを防ぎます。専用の体位保持ベルトも販売されていますが、まずは家にあるクッションやバスタオルを丸めたもので試してみることをお勧めします。寝間着の背中部分にテニスボールを縫い付けるという古典的な方法も、シンプルながら効果的です。
枕の高さ調整も重要なポイント
理想的なのは、頭から首、背骨までが一直線になる高さです。枕が低すぎると首が下に曲がり、高すぎると上に曲がってしまい、どちらも首や肩への負担となります。
肩幅が広い方は、やや高めの枕が適しています。逆に、華奢な体型の方は低めの枕が良いでしょう。最近では、横向き寝専用に設計された、中央部分がくぼんだ形状の枕も販売されています。
横向き寝を継続するためのコツと注意点
新しい寝姿勢に慣れるには、通常2〜4週間程度かかります。
最初は違和感があったり、朝起きたときに体の一部が痛むこともあるかもしれません。しかし、多くの場合、これらの症状は体が新しい姿勢に適応するにつれて自然に解消されます。
左右どちら向きで寝るべきか
左側を下にして寝ることが推奨される場合が多くあります。心臓が体の左側にあるため、左側で寝た状態では心臓への血液還流がスムーズになり、循環器系への負担が軽減されると考えられています。また、胃の形状から、左側で寝た状態の方が胃酸の逆流を防ぎやすいという報告もあります。
こんな場合は医療機関への相談を
横向き寝を2〜3週間続けても、いびきや日中の眠気が改善しない場合は、より専門的な評価が必要かもしれません。
特に、以下のような症状がある場合には、受診することをお勧めします。
睡眠中に呼吸が止まっていると家族に指摘される
朝起きたときに頭痛がする
日中に強い眠気で居眠りしてしまう
夜間に何度もトイレに起きる
といった症状は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を示唆しています。
また、顎が小さい、扁桃腺が大きい、鼻づまりが慢性化しているなど、解剖学的な要因がある場合には、姿勢の工夫だけでは限界があることもあります。そのような場合には、マウスピースの作製や、レーザー治療が選択肢となることもあります。
よくある質問:横向き寝について
Q1. 横向き寝で肩が痛くなるのですが、どうすればよいですか?
肩への負担を軽減するには、適切な枕選びと抱き枕の活用が効果的です。枕は肩幅に合った高さのものを選び、頭・首・背骨が一直線になるよう調整してください。また、抱き枕を使うことで上側の腕の重みを分散でき、肩への圧迫を軽減できます。それでも痛みが続く場合は、マットレスの硬さも見直してみましょう。
Q2. 妊娠中でも横向き寝は安全ですか?
妊娠中、特に妊娠中期以降は、左側を下にした横向き寝が推奨されています。この姿勢は、子宮による大静脈の圧迫を避け、胎児への血流を良好に保つことができます。抱き枕や妊婦用クッションを活用すると、より快適に過ごせるでしょう。ただし、個別の状況によって異なるため、担当医に相談することをお勧めします。
Q3. 子どもにも横向き寝を勧めてよいですか?
小児のいびきには、アデノイドや扁桃腺肥大などの解剖学的要因が関与していることが多いため、まずは小児科や耳鼻咽喉科での診察が重要です。横向き寝自体は安全ですが、根本的な原因への対処が優先されます。医師の指導のもとで、適切な対策を講じることが大切です。
Q4. 横向き寝でも効果がない場合、次に試すべきことは?
横向き寝を2〜3週間継続しても改善が見られない場合は、専門医療機関での睡眠検査をお勧めします。睡眠時無呼吸症候群の重症度を正確に評価し、CPAP療法や口腔内装置など、より積極的な治療法を検討する必要があるかもしれません。また、減量や飲酒習慣の見直しなど、生活習慣の改善も並行して行うことが重要です。
Q5. 横向き寝の習慣化にはどのくらいの期間が必要ですか?
個人差はありますが、一般的に2〜4週間程度で新しい寝姿勢に慣れることが多いです。最初の1週間は違和感があるかもしれませんが、抱き枕や背中のクッションなどの補助具を活用することで、スムーズに移行できます。焦らず、少しずつ体を慣らしていくことが成功の鍵です。
まとめ:横向き寝でいびき改善
寝る姿勢を「横向き」に変えるだけで、大きな改善が期待できます。仰向け寝では重力によって気道が狭くなりやすいのに対し、横向き寝では気道が確保されやすくなるという、シンプルながら根拠に裏付けられたメカニズムがあります。
ただし、横向き寝は根本的な改善につながるものではないため、いびきでお困りの方は一度専門クリニックへ受診を検討してください。
いびきの改善は、あなた自身の健康だけでなく、一緒に暮らす家族の睡眠の質も向上させます。いびきや睡眠時無呼吸症候群についてさらに詳しく知りたい方は、一度、東京BTクリニック歯科・医科にお気軽にご相談にいらしてください。

著者情報 医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士 東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO 【経歴】 東京歯科大学 総合歯科 東京歯科大学 インプラント専門外来 医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業 日本大学松戸歯学部非常勤講師 【資格・所属学会】 PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター 日本口腔インプラント学会 専門医

