2025年12月17日

パートナーのいびきが睡眠を妨げる深刻な問題
実際、2025年の最新調査によれば、家族やパートナーのいびきに悩む人は57.3%と過去最多を記録しており、多くの方が睡眠の質の低下に苦しんでいます。パートナーのいびきは、単なる音の問題ではなく、あなた自身の健康にも影響を及ぼす可能性があるのです。
いびきによって睡眠が妨げられると、日中の眠気や集中力の低下、イライラ感の増加など、生活の質が著しく損なわれます。さらに、パートナーのいびきが「睡眠時無呼吸症候群」という病気のサインである場合、放置すると高血圧や心疾患、脳卒中といった重大な健康リスクにつながることもあります。この記事では、睡眠医学の専門医として、パートナーのいびきに悩む方々へ向けて、科学的根拠に基づいた対処法を詳しく解説します。
いびきの音が大きくなる仕組み
いびきは、睡眠中に気道が狭くなることで発生する音です。では、なぜ同じ人でも夜によっていびきの大きさが違うのでしょうか。
気道の閉塞だけではない:換気駆動力の重要性
いびきの大きさは気道の狭さだけで決まるわけではなく、「換気駆動力」も同等に重要であるとされています。換気駆動力とは、呼吸をしようとする神経系の命令の強さを意味します。
とある研究では、睡眠時無呼吸症候群の患者40名を対象に、165,063回もの呼吸を分析しました。その結果、気道が50%閉塞している状態では、換気駆動力が標準偏差1つ分増加するごとに、いびきの音量が3.4デシベル増加することが判明したのです。一方で、気道が完全に開通している状態では、換気駆動力が同じだけ増加しても、いびきの音量はわずか0.23デシベルしか増加しませんでした。
睡眠段階によるいびきの変化
いびきの大きさは、実は「睡眠の深さ」によっても変化します。
深い眠りの段階(「徐波睡眠=ステージN3」)では、体がよりしっかりと呼吸しようとするため、いびきが最も大きくなります。ある研究では、浅い眠りに比べて約+3.7デシベル音が強くなると報告されています。
一方で、浅い眠り(ステージN1)や夢を見る「レム睡眠」では、呼吸の力が弱まり、いびきの音も静かになります。特にレム睡眠時には、いびきの音量が約−5.4デシベル低下することが確認されています。
また、気道が極端に狭くなり(約80%以上閉塞)、空気の通り道がほとんど塞がってしまうと、いびきの音はむしろ小さくなることもあります。
これは、空気の流れ自体がほぼ止まってしまい、喉の粘膜が振動できなくなるためです。つまり、「いびきが小さくなった=治った」とは限りません。
音が静かでも、呼吸が止まっている(無呼吸状態)可能性があるため、注意が必要です。
パートナーのいびきへの即効性のある対処法
横向き寝を促す工夫
仰向けで寝ると、重力によって舌が喉に落ち込みやすくなり、いびきが悪化します。パートナーに横向きで寝てもらうことで、気道が確保されやすくなります。抱き枕を使ったり、背中にクッションを置いたりして、横向きの姿勢をキープできるよう工夫してみてください。
市販の対策グッズの活用
鼻詰まりが原因でいびきをかいている場合、鼻腔拡張テープが効果的なことがあります。鼻に貼ることで鼻腔を広げ、鼻呼吸を促進します。また、口呼吸を防ぐ口閉じテープ(マウステープ)も選択肢の一つですが、鼻が詰まっている状態では絶対に使用しないでください。窒息の危険があります。
ただし、これらのグッズはあくまで対症療法です。喉の奥の閉塞が原因のいびきには効果がありませんし、根本的な解決にはなりません。
専門医に相談すべきタイミングと診療科
パートナーのいびきが以下のような特徴を持つ場合、専門医への相談を強くお勧めします。
危険ないびきのサイン
毎晩のように大きな音でいびきをかく
いびきの音が途中で止まり、静かになる時間がある
息苦しそうにあえいで、呼吸を再開する
日中に強い眠気を感じる
起床時に頭痛がある
これらの症状は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を示唆しています。
相談をためらう理由と解決策
「誰にも相談していない」「相談したかったが出来なかった」「恥ずかしい」「大したことではない」という思い込みが、相談をためらう主な理由と考えます。
しかし、いびきは睡眠時無呼吸症候群という病気のサインである可能性が高く、放置すると高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中といった命に関わる生活習慣病のリスクが著しく高まります。また、日中の強い眠気が仕事上のミスや重大な交通事故の原因となることもあります。パートナーの健康を守るためにも、早めの受診を促すことが大切です。
専門期間で受けられる根本的な治療法
CPAP療法
CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、睡眠中にマスクを装着し、気道に持続的に空気を送り込むことで、気道の閉塞を防ぐ治療法です。中等症から重症の睡眠時無呼吸症候群に対して、最も効果的な治療法とされています。病院で機器をレンタルし、自宅で毎晩使用します。
CPAP療法は根治療法ではありませんが、睡眠時無呼吸が及ぼす体への影響(高血圧、心臓病、脳梗塞の発症)を予防することができます。
当院の治療法

CPAPを使用したが改善しなかった患者さんには下記治療法の案内をさせていただいております。
口腔内装置(マウスピース):軽症に適応
当院で取り扱うマウスピースは、大きく「可動式」と「固定式」の2タイプに分かれます。
可動式マウスピース
上下の装置が連結されながらも、睡眠中にある程度口を動かせるタイプです。
自然な顎の動きを保てるため違和感が少なく、初めての方でも比較的慣れやすいのが特徴です。
固定式マウスピース
上下のマウスピースをしっかり固定して、下顎の位置を安定的に保持します。
気道の確保力が高く、いびきや無呼吸が重めの方にも対応できます。
どちらを採用するかは、症状の重さや顎関節の可動性、歯列の状態を総合的に評価した上で決定します。
また、より効果的かつ顎関節に負担をかけないマウスピースを実現するために、CT撮影やセファロ(頭部X線規格写真)を用いた精密診断を行っております。
CPAPと併用で使うことでより高い治療結果を得ることができます。
レーザー治療(ナイトレーズ)
マウスピース療法に加え、レーザー治療「ナイトレーズ」も睡眠時無呼吸に効果的な治療法と言えます。レーザーを咽頭部に照射し、粘膜を軽く収縮させることで気道を広げ、いびきを抑える効果が期待できます。
特徴としては痛みが少なく、麻酔不要で施術時間は約15〜30分です。
ダウンタイムもないことから日帰りでお受けいただけます。またマウスピースとの併用治療も効果的です。
まとめ:パートナーと一緒に解決へ
パートナーのいびきで眠れない悩みは、決してあなた一人だけの問題ではありません。いびきは、パートナー自身の健康リスクを示すサインでもあります。まずは、横向き寝や市販グッズなど、今夜から試せる対処法を実践してみてください。
しかし、いびきが毎晩続く場合や、呼吸が止まるような危険なサインがある場合は、専門医への相談を強くお勧めします。睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療によって改善できる病気です。CPAP療法やマウスピース装置、レーザー療法や場合によっては外科手術など、原因に応じた効果的な治療法が存在します。
パートナーの健康を守り、あなた自身の睡眠の質を取り戻すために、早めの行動が大切です。いびきの問題を二人で共有し、一緒に解決へ向かうことで、より良い睡眠と健康的な生活を手に入れましょう。
いびきのご相談は、東京BTクリニック歯科・医科までお気軽にお問い合わせください。

著者情報 医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士 東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO 【経歴】 東京歯科大学 総合歯科 東京歯科大学 インプラント専門外来 医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業 日本大学松戸歯学部非常勤講師 【資格・所属学会】 PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター 日本口腔インプラント学会 専門医

