2026年1月02日

いびきとストレスの深い関係性
現代は「ストレス社会」といわれるほど、心や体に負担を抱える人が増えています。いびきの悪化には疲労やストレスが深く関わっていることをご存知でしょうか。普段はいびきをかかない方でも、心身の疲れが蓄積すると、急に大きないびきをかくようになることがあります。
いびきは睡眠の質を著しく低下させ、日中のパフォーマンスにも影響を及ぼします。さらに放置すると、睡眠時無呼吸症候群などの深刻な病気につながる可能性もあるため、早期の対処が重要です。
この記事では、いびきとストレスの関係性から具体的な改善法まで、詳しく解説します。「最近ストレスが多いかも」「いびきの原因が思い当たらない」という方はぜひ参考にしてみてください。
なぜ疲れやストレスでいびきが悪化するのか
疲労や精神的なストレスは、自分でも気づかないうちに体に様々な変化をもたらします。
その一つが、いびきの悪化です。心身のコンディションが睡眠中の呼吸に影響を与えるメカニズムには、主に3つの要因が関係しています。
疲労による筋肉の過度な弛緩
いびきは、喉や舌の周囲の筋肉が緩み、空気の通り道(上気道)が狭くなることで発生します。誰でも睡眠中には筋肉がリラックスしますが、強い疲労やストレスが溜まっていると、筋肉の弛緩が通常よりも大きくなるのです。
その結果、舌が喉の奥に落ち込む「舌根沈下」が起こりやすくなり、気道がさらに狭くなります。
これが、「疲れている日ほどいびきがひどくなる」理由です。
また、ストレスによって筋肉の緊張と弛緩のリズムが乱れることで、呼吸のリズム自体も不安定になり、いびきが強まる傾向があります。
ストレスと自律神経の乱れ
精神的なストレスは、体のオン・オフを切り替える自律神経のバランスを乱します。
ストレス状態が続くと、体を緊張させる交感神経が優位になり、筋肉の緊張や血行不良を引き起こすのです。この状態での睡眠は鼻の粘膜の腫れや血行不良を招き、鼻づまりを起こしやすくします。鼻呼吸がしにくくなると、自然と口呼吸になり、いびきの原因となります。
睡眠不足が引き起こす悪循環
ストレスや忙しさによって睡眠時間が短くなると、体はより深い眠りを求めるようになります。深いノンレム睡眠中は筋肉の弛緩が最大となるため、いびきをかきやすい状態になります。
さらに、いびきが続くことで睡眠の質が下がり、日中の疲労やストレスがさらに増加。
その結果、「ストレス → 睡眠不足 → いびき悪化 → 睡眠の質低下 → さらにストレス」という悪循環に陥ることがあります。
このループを断ち切るためには、ストレスケアと睡眠環境の見直しを同時に行うことが大切です。
放置は危険?いびきが招く健康リスク
「疲れている時だけだから」「そのうち治るだろう」と、いびきを軽く考えてはいけません。実はいびきは、体と心のストレスが蓄積しているサインでもあります。
睡眠中に十分な休息が取れていない証拠であり、放置すると心身のバランスを崩すリスクが高まります。
睡眠の質の低下と日中の深刻な眠気
いびきをかいているとき、とくに呼吸が止まりかけるほどの大きないびきがある場合、脳は何度も覚醒状態を繰り返しています。
たとえ本人が気づかなくても、脳と体は「休めていない状態」になっているのです。
その結果、ストレスホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌され、日中の強い眠気・集中力の低下・イライラ・倦怠感などを引き起こします。これが続くと、仕事や日常生活のパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
免疫力の低下とストレス耐性の減少
質の高い睡眠は、心と体の回復に欠かせません。いびきによって睡眠が浅くなると、免疫細胞の働きが低下し、風邪や感染症にかかりやすくなるだけでなく、ストレスへの耐性(レジリエンス)も下がります。
ストレスをうまく処理できなくなり、「疲れやすい」「気分が沈む」「些細なことで不安になる」といった症状を感じることもあります。
つまり、いびきが続くことは、免疫とメンタルの両面にダメージを与えてしまうのです。
睡眠時無呼吸症候群とストレスの悪循環
大きないびきは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的なサインです。
この病気は、睡眠中に呼吸が止まる状態が繰り返され、高血圧・動脈硬化・心疾患・脳卒中などのリスクを高めます。
さらに無呼吸が続くと、体が酸欠状態になり、自律神経が乱れて交感神経が優位な「緊張モード」が続きます。
その結果、ストレスが常にかかった状態が慢性化し、眠っても疲れが取れない悪循環に陥ることがあります。
いびき改善のための具体的なストレス対策
いびきを改善するには、単に睡眠環境を整えるだけでなく、ストレスを溜めない生活習慣をつくることがとても重要です。日常で意識できるポイントを紹介します。
ストレス緩和と規則正しい生活
いびきを軽減する第一歩は、「ストレスを減らすこと」です。
日中の心配ごとや不安を少なくし、寝る前はリラックスできる時間を作りましょう。軽いストレッチや深呼吸、アロマ入浴などは副交感神経を刺激し、睡眠の質を高めます。
また、規則正しい生活リズムを保つことで、自律神経のバランスが整い、
ストレスに強い体づくりにもつながります。
飲酒と睡眠薬の見直し
アルコールには筋肉をゆるめる作用があるため、飲酒後は喉の筋肉が緩み、いびきをかきやすくなります。「寝る前の一杯」は一見リラックス効果がありそうですが、実際にはストレスホルモンを増やし、睡眠の質を下げることがあります。
また、一部の睡眠薬には筋弛緩作用があるため、いびきを悪化させる原因になることも。ストレスや不眠が続く場合は、医師と相談して適切な薬の選択や心理的ケアを受けましょう。
適切な体重管理とストレス性過食のコントロール
肥満によって喉や首まわりに脂肪がつくと、気道が狭くなりいびきが起こりやすくなります。しかし、過度な食事制限や急激なダイエットは、逆に体に強いストレスを与え、ホルモンバランスを崩す原因になります。
医師や管理栄養士のもとで、心身に無理のないペースで減量を行うことが大切です。適切な体重管理は、睡眠の質改善とストレス軽減の両方に役立ちます。
鼻づまり・呼吸トラブルの治療
ストレスが続くと免疫力が低下し、鼻炎や副鼻腔炎が悪化することがあります。
慢性的な鼻づまりは口呼吸の原因となり、いびきを助長するため、鼻呼吸を回復させることがストレス軽減にもつながります。
寝室環境の整備とリラックス空間の演出
寝室が乾燥していると、喉の粘膜が刺激され、いびきが悪化しやすくなります。
加湿器を使って湿度50〜60%を保つほか、照明を落として落ち着ける空間をつくることで、ストレスを和らげる効果もあります。香りや照明など、五感をリラックスさせる工夫は、心身の緊張をほぐし、いびきの予防にも役立ちます。
専門医への相談が必要なケース
「疲れているだけ」「ストレスのせいかも」と思って放置しているいびきでも、
実は病気が隠れている可能性があります。
セルフケアを続けても改善しない、または以下のような症状がある場合は、一度、専門医に相談することをおすすめします。
毎晩のようにいびきをかく
家族から「いびきが大きい」「呼吸が止まっている」と指摘される
起床時に頭が重い、集中力が続かない
日中に強い眠気やだるさがある
最近、ストレスや疲労が抜けにくい
これらの症状がある方は、睡眠の質の低下や自律神経の乱れが起きている可能性があります。特に、強いストレスが続くと体が常に緊張状態になり、睡眠中の呼吸リズムが乱れやすくなります。
こうした状態が慢性化すると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に発展することもあります。
当院での診療について
当院では、いびき・睡眠時無呼吸症候群・ストレス性睡眠障害など、幅広い睡眠トラブルに対応しています。CT・セファロ・内視鏡検査などの精密検査を行い、いびきの原因を構造面(気道・顎・鼻)+機能面(自律神経・睡眠リズム)の両方から分析します。治療法は、症状の程度やライフスタイルに合わせて選択します。
主な治療オプション
マウスピース治療:下顎を前方に誘導して気道を確保
レーザー治療(ナイトレーズ):痛みが少なく、ストレス負担の少ない最新治療
生活指導・ストレスケア:睡眠衛生、食生活、心理的ストレスへの対応
さらには当院では、専門医師に夜カウンセリング体制を整え、ストレスケアを含めた総合的なサポートを行っています。
まとめ
いびきとストレスには深い関係があります。
疲労やストレスによる筋肉の過度な弛緩、自律神経の乱れ、睡眠不足の悪循環が、いびきを悪化させる主な要因です。女性の場合は、ホルモンバランスの変化や骨格的特徴も影響します。
いびきを放置すると、睡眠の質の低下、免疫力の低下、さらには睡眠時無呼吸症候群などの深刻な健康リスクにつながる可能性があります。ストレス緩和、規則正しい生活、飲酒の見直し、適切な体重管理、鼻づまりの治療、寝室環境の整備など、日常生活でできる対策から始めてみましょう。
セルフケアで改善しない場合や、毎晩のようにいびきをかく場合は、東京BTクリニック歯科・医科までお気軽にお問い合わせください。

著者情報 医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士 東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO 【経歴】 東京歯科大学 総合歯科 東京歯科大学 インプラント専門外来 医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業 日本大学松戸歯学部非常勤講師 【資格・所属学会】 PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター 日本口腔インプラント学会 専門医

