2025年12月23日

CPAPをやめたいと感じる方へ
CPAP療法は確かに効果的な治療法です。しかし、導入後に治療を中止してしまう患者さんが少なくありません。CPAPは治療開始後半年以内に中止する方が全体の半数近くを占めるといわれております。
平均使用時間も1晩あたり4.4時間程度と、理想的な使用時間には届いていないのが現状です。大規模な国際研究であるSAVE研究でも、平均遵守時間は1晩あたり3.3時間にとどまっており、CPAP療法の継続の難しさが浮き彫りになっています。
では、なぜこれほど多くの方がCPAPをやめたいと感じるのでしょうか?そして、CPAP以外にどのような治療選択肢があるのでしょうか?本記事では、CPAP継続が困難な理由と、代替治療法について詳しく解説します。
CPAP治療をやめてしまう主な理由とは
装着時の違和感と身体的不快感
CPAP治療を中止する最も多い理由は、マスク装着による違和感です。
顔にマスクを密着させる必要があるため、圧迫感や異物感を強く感じる方が多くいらっしゃいます。特に導入初期には、この違和感が睡眠の妨げとなり、かえって睡眠の質が低下したと感じる方もいます。マスクベルトの調整や、マスクの種類を変更することで改善する場合もありますが、根本的な解決にはならないケースも少なくありません。
また、送り込まれる空気の圧力に対する不快感も大きな問題です。息苦しさを感じたり、逆に空気が強すぎて眠れなかったりする方もいます。圧設定の調整である程度は改善できますが、個人差が大きく、すべての方に最適な設定を見つけるのは容易ではありません。
鼻や口の症状による継続困難
鼻閉、鼻汁、口やのどの乾燥といった症状も、CPAP中止の主要な理由として挙げられます。
特に鼻症状は、CPAP療法の効果を大きく左下させる要因です。点鼻薬や加湿器の使用で対処できる場合もありますが、慢性的な鼻炎やアレルギー性鼻炎をお持ちの方では、これらの症状が悪化することもあります。口の乾燥に対しては、加湿器の使用や口唇テープの併用が推奨されますが、これらの対策を講じても改善しない場合があります。
生活の質への影響
CPAPは機器本体とマスク、チューブなどで構成されるため、持ち運びに不便さを感じる方が多くいらっしゃいます。
出張や旅行の際に機器を持参する必要があり、これが大きな負担となります。また、パートナーとの寝室を共有している場合、機械の音が気になるという声も聞かれます。さらに、マスクの跡が顔に残ることを気にされる方や、マスクとの接触部分の皮膚がかぶれてしまう方もいます。
経済的な側面も無視できません。毎月の通院や機器のメンテナンス、消耗品の交換など、継続的なコストが発生します。これらの負担が積み重なり、治療の中断につながるケースも見られます。
口腔内装置(マウスピース)による代替治療
マウスピース治療の仕組みと特徴
口腔内装置(マウスピース)は、CPAPに次いで広く使用されているいびき治療法です。
就寝時に口腔内に装着し、下顎を前方に引き出すことで気道を確保する仕組みになっています。マウスピース治療の大きな利点は、装着が簡単で継続しやすいという点です。顔や頭部への負担が少なく、寝返りも打ちやすいため、睡眠の自由度が高くなります。また、音が出ないため、パートナーの睡眠を妨げることもありません。小型・軽量なため出張や旅行にも持っていきやすく、通院頻度も3~6ヶ月に1回程度と少なくて済みます。
治療効果と適応症例
マウスピースによるAHI(無呼吸低呼吸指数)の低減効果は、疾患の重症度によって異なります。
AHIを5回/時間未満に低減する成功率は、軽症で55%、中等症で45%、重症で35%と報告されています。CPAPと併用して取り入れることでより良い治療結果をもたらしてくれます。興味深いことに「もともとの無呼吸の重症度が高い人ほど、マウスピース治療による改善が大きい」という結果が報告されています。つまり、治療を始める前の段階で睡眠時無呼吸症候群(OSA)の数値が高い=重度の状態だった人ほど、 マウスピースを使ったあとに、呼吸状態が大きく改善する傾向があるということです。一見すると、「重症の人にはマウスピースは効かないのでは?」と思われがちですが、 実際には、しっかりと設計・調整されたマウスピース治療で、大幅な症状改善が期待できるケースも少なくありません。
その他の代替治療法と併用療法
口腔咽頭運動(お口周辺の筋トレ)による改善
口腔咽頭運動は、舌、軟口蓋、咽頭側壁を動かす等尺性運動と等張性運動のセットで構成されます。
主な制限事項は、患者さんが体操を頻繁に(1日に2~3回)行う必要があることです。実際の患者さんがどの程度遵守しているかは不明ですが、軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群の患者さんにとっては、補助的な治療法として検討する価値があります。
ナイトレーズ治療の特徴とマウスピース療法との併用について
ナイトレーズは、レーザーを用いて喉の粘膜をやさしく引き締める治療法です。
痛みが少なく、麻酔を必要としないため、安心して受けられるのが大きな特徴です。施術時間はおよそ15〜30分程度で、治療後の腫れや出血などのダウンタイムもほとんどありません。
このレーザー治療は、マウスピース療法と併用することで相乗効果が期待できます。マウスピースで下顎を前方に誘導して気道を確保しつつ、レーザーで喉の軟組織を引き締めることで、いびきや睡眠時無呼吸の症状をより効率的に改善することが可能です。
CPAP(持続陽圧呼吸療法)とマウスピースの併用療法
マウスピースで物理的に気道を広げることで、CPAPの送気圧を下げられ、装着時の不快感が軽減。
その結果、治療の継続率が高まり、より安定した呼吸と睡眠の質の改善が得られます。
マウスピース治療は、基本的に長期間にわたって使用していくものです。
そのため、歯科医師の継続的なチェックを受けながら行うことで、
歯や顎関節への負担を最小限に抑えつつ、睡眠時無呼吸症候群の根本的な改善を目指すことができます。
まとめ:CPAPをやめたいと感じたら専門医に相談を
CPAP療法は確かに効果的な治療法ですが、継続が困難な方が多いのも事実です。
幸いなことに、現在ではCPAP以外にも複数の代替治療法が利用可能になっています。口腔内装置(マウスピース)は、いびき、軽度、中等度、重度の睡眠時無呼吸症候群を患う多くの患者さんにとって、費用効果の高い治療法です。
重要なのは、CPAP療法が合わないからといって、治療をあきらめる必要はないということです。睡眠時無呼吸症候群を放置すると、様々なリスクを高めることが明らかになっています。CPAP療法の継続が困難だと感じたら、まずは専門の医療機関に相談し、自分に合った代替治療法を見つけることが大切です。
当院では、睡眠時無呼吸症候群に対する包括的な診療を行っており、マウスピース治療をはじめとする様々な治療選択肢をご提案しています。CPAP療法でお悩みの方は、ぜひ一度東京BTクリニック歯科・医科までお気軽にご相談ください。

著者情報 医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士 東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO 【経歴】 東京歯科大学 総合歯科 東京歯科大学 インプラント専門外来 医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業 日本大学松戸歯学部非常勤講師 【資格・所属学会】 PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター 日本口腔インプラント学会 専門医

