2025年11月17日

いびきは自覚しにくい症状ですが、単なる音の問題ではなく、睡眠の質の低下や様々な健康リスクを引き起こす可能性があるのです。
長年にわたりいびき治療に携わってきた経験から、最新のナイトレーズいびき治療について詳しくご説明します。
この記事では、いびきの基礎知識から最新のレーザー治療「ナイトレーズ」の効果と特徴まで、あなたのお悩み解決に役立つ情報をお届けします。
いびきとは?原因と健康リスク
いびきは、睡眠中に気道が部分的に閉塞し、空気の流れが妨げられることで発生する音です。喉や鼻の後部の組織が振動することで生じます。
具体的には、咽頭(のど)が狭くなって、息を吸うときに狭くなった部分に空気が通過するため、のどが振動して音が出る現象です。眠ると筋肉がゆるむため、よけいに咽頭が狭くなります。
日本人は顎(あご)が小さい人が多く、肥満や飲酒、睡眠薬によっていびきが出現しやすくなります。また、咽頭扁桃(アデノイド)の腫れ、口蓋垂(のどちんこ)の大きさ、鼻炎による鼻づまり、鼻中隔彎曲なども原因となります。
いびきには、単純性いびきから睡眠時無呼吸症候群に伴ういびきまで、さまざまな種類があります。
いびきの種類と特徴
いびきは大きく分けて以下の4種類に分類できます。
単純性いびき:一般的ないびきで、健康への影響は少ないものの、習慣的ないびきは将来的な病気のリスクがあります
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)に伴ういびき:気道が完全に閉塞し、呼吸が一時的に停止した後に大きないびきが生じます
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)に伴ういびき:脳の呼吸中枢の異常により発生し、心不全や脳卒中が原因となることも
上気道抵抗症候群(UARS)に伴ういびき:睡眠時無呼吸症候群の予備軍とも言える状態で、睡眠の質が低下します
いびきがもたらす健康リスク
いびきは「ただうるさいだけ」と思われがちですが、実は様々な健康リスクと関連しています。
高血圧リスク:約1.9倍(特にコントロール不良型)
心血管疾患リスク:1.2〜1.3倍
脳卒中リスク:約1.5倍
糖尿病リスク:2.2倍(時々いびき)〜2.7倍(常習)
精神的健康リスク:1.3〜2.4倍
特に重度のいびきがある方は、交通事故リスクが約2.4倍、労働災害リスクが2.18倍、突然死リスクが1.74倍にも上るという報告もあります。
いびきを単なる生活習慣の問題と軽視せず、適切な対策を講じることが重要です。
ナイトレーズ治療とは?最新レーザー治療の仕組み
ナイトレーズ治療は、Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザーを使用した非侵襲的ないびき治療法です。従来のいびき治療と大きく異なる画期的な方法なのです。
このレーザーは口腔内の軟口蓋や口蓋垂、舌側に照射され、熱エネルギーによって組織内のコラーゲンが増生します。これにより緩んだ軟部組織を引き締め、いびきの原因となる部位を切除することなく縮小させるのです。
具体的には、レーザー照射によって深さ500μmのUpper Dermis Layerを61〜63℃まで加熱します。この熱刺激によってコラーゲンが増生し、いびきの原因となる喉の組織を切除せずに縮小させることができます。
治療時間は1回あたり約15〜30分程度。通常3〜6回のセッションを4週間ごとに受けることで効果を得られます。
従来のいびき治療との違い
従来のいびき治療と比較すると、ナイトレーズには多くの利点があります。
CPAP療法は鼻や口に装置を装着して睡眠する必要があり、不快感から継続使用を断念する方が多いのが現状です。また、毎月のレンタル料金が約5,000円(年間約6万円)かかり続けるという経済的負担もあります。
外科的手術では、メスやレーザーで口蓋垂や軟口蓋を切除するため、術後の痛みや出血、数週間にわたる食事制限などのダウンタイムが避けられません。
これに対してナイトレーズは、切開手術と違い痛みがほとんどなく、麻酔も不要です。治療後すぐに食事も可能で、日常生活への影響が最小限に抑えられます。
「痛みなく、切らずに、すぐに日常生活に戻れる」—これがナイトレーズ治療の最大の魅力です。
ナイトレーズ治療の特徴とメリット
ナイトレーズ治療には、従来のいびき治療にはない多くの特徴とメリットがあります。
痛みがほとんどない
ナイトレーズ治療の最大の特徴は、痛みがほとんどないことです。レーザー照射時にわずかに温かさを感じる程度で、麻酔なしでも十分耐えられる刺激です。これは従来の切開手術とは大きく異なる点です。
麻酔が不要
痛みがほとんどないため麻酔が不要です。麻酔注射の痛みや、麻酔による不快感・副作用の心配がありません。治療中は意識のある状態で会話もしながら進められるため、リラックスして治療を受けることができます。
歯科治療や医療処置に恐怖心を持つ方でも、比較的抵抗感なく受けられる治療法と言えるでしょう。
出血がない
ナイトレーズ治療では、軟口蓋や口蓋垂を切除しないため、出血がありません。レーザーの熱作用で軟部組織を引き締めるだけなので、メスで組織を傷つける必要がなく、安全性が高いのが特徴です。
口蓋垂(のどちんこ)も切り取らないため、出血リスクはほぼゼロと言えます。術後に喉が出血してつばを吐く、といった心配もありません。
治療後すぐに食事が可能
ナイトレーズ治療の大きなメリットとして、治療直後から通常の食事が可能な点が挙げられます。
従来のいびき治療手術(レーザー手術含む)では、術後しばらくは喉の強い痛みで通常の食事が困難になり、流動食などに制限されることがありました。
一方、ナイトレーズ治療では、基本的には通常通りの食事が可能です。仕事や日常生活への影響を最小限に抑えられるのは、患者さんにとって大きなメリットです。
実際の治療風景
私が模擬患者になった、実際の治療風景です。治療は主に三段階に分けて行われます。
※音量にご注意ください。
余熱
MTS(熱レーザーでのアプローチ)
仕上げ
ナイトレーズ治療の効果と適応
ナイトレーズ治療は、いびきや軽度の睡眠時無呼吸症候群に効果を発揮します。しかし、すべての方に同じように効果があるわけではありません。
患者さんの状態によって効果の出方には個人差が生じてしまうため、治療前の適切な診断と、個々の状態に合わせた治療計画の立案が重要です。
ナイトレーズ治療の効果
ナイトレーズ治療の効果については、科学的な研究結果も報告されています。
Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザーによる治療がいびきの軽減に効果があるか調べたシステマティックレビュー(質の高い論文をくまなく調査しデータを分析する手法)によれば、いびきの改善がみられ、患者満足度の割合が80%であったと報告されています。
実際の治療では、早い方は治療直後よりいびきや呼吸の改善効果を実感できることもあります。効果の持続期間は個人差がありますが、一般的には1年から3年程度とされています。
適応となる方
ナイトレーズ治療が特に効果的なのは、以下のような特徴を持つ方です。
非肥満体型(BMI<30kg/m2)の方
軽症の閉塞型睡眠時無呼吸(AHI<15/hr)の方
口蓋垂が太くて長い方
軟口蓋低位の方
単純性いびき症の方
CPAPが合わない・使い続けられない方
外科的手術に抵抗がある方
研究報告によると、非肥満体型と軽症の閉塞型睡眠時無呼吸の条件がある場合には、レーザー治療(ナイトレーズ)はいびきの軽減に効果があるという結果が報告されています。
効果が出にくい方
一方で、以下のような方には効果が出にくい可能性があります。
高度肥満(BMI≧30)の方
中等症~重症の睡眠時無呼吸症候群(AHI>15/hr)の方
鼻疾患(副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など)によるいびきの方
扁桃腺肥大が原因のいびきの方
肥満体型のある人に対して、いびき軽減の効果が確実にあるとは言えません。WHO基準の肥満(BMI>30kg/m2)がある場合、あるいは中等症~重症の睡眠時無呼吸(AHI>15/hr)に該当する場合、レーザー治療の効果およびだけでなくCPAPやマウスピースの併用が推奨されます。
いびき軽減を目的としてレーザー治療を受ける場合は、術前の睡眠呼吸障害の重症度と肥満度を把握すること、上気道の閉塞部位を特定することが大切です。
ナイトレーズ治療の流れ
ナイトレーズ治療は、比較的シンプルな流れで進行します。私のクリニックでは、患者さん一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診察とカウンセリングを行い、最適な治療計画を立てています。
初診・カウンセリング
まず初めに、詳細な問診と診察を行います。いびきの程度や睡眠の質、日中の眠気の有無など、睡眠に関する様々な症状をお聞きします。また、口腔内の状態を確認し、いびきの原因となっている部位を特定します。
必要に応じて、いびきや睡眠時無呼吸の程度を客観的に評価するために、スマートフォンアプリを使ったいびき測定や、自宅で行える簡易睡眠検査などを実施することもあります。
診察結果に基づいて、ナイトレーズ治療が適しているかどうかを判断し、治療計画をご提案します。重度の睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、睡眠専門医への紹介も検討します。
治療当日の流れ
治療当日は、まず口腔内を清潔にするために軽いクリーニングを行います。その後、レーザー照射を開始します。口の中から軟口蓋や口蓋垂、舌側などの粘膜にレーザーを照射していきます。照射時間は約15〜30分程度です。
治療中は軽い熱さを感じる程度で、痛みはほとんどなく、麻酔なしで治療が可能です。
治療後の経過と注意点
治療後は、のどの奥に軽い違和感を感じることがありますが、多くの場合1時間程度で解消します。
治療当日は、刺激の強い食べ物やアルコールは控えていただきますが、それ以外は通常通りの食事や日常生活が可能です。
まれに照射部位に口内炎などを引き起こすことがありますが、3〜4日(長くて1週間程度)で改善します。改善しない場合は医師に相談してください。
ナイトレーズ治療は通常、1ヶ月に1回のペースで3〜6回程度の治療を行います。個人差はありますが、2〜3回目の治療からはっきりとした効果を感じる方が多いです。
効果の持続期間は1〜3年程度ですが、6ヶ月〜1年に一度のメンテナンス治療を受けることで、効果を長く維持することができます。
ナイトレーズ治療の費用と注意点
ナイトレーズ治療を検討する際には、費用や注意点についても理解しておくことが大切です。私は患者さんに対して、治療のメリットだけでなく、限界や注意点についても正直にお伝えするようにしています。
ナイトレーズ治療の費用
ナイトレーズ治療の費用は医療機関によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。
1回あたりの治療費:約5万円〜11万円
3回コース:約15万円〜30万円
6回コース:約28万円〜60万円
メンテナンス1回:約4万円〜5万円
なお、ナイトレーズ治療は保険適用外の自由診療となるため、全額自己負担となります。また、医療機関によってはモニター価格や割引コースなどを設けている場合もあります。
治療の注意点とリスク
ナイトレーズ治療は比較的安全な治療ですが、いくつかの注意点やリスクがあります。
レーザーを照射したことにより、喉の粘膜が一時的に炎症を起こし、喉風邪のような症状(喉の腫れやイガイガ感)を感じることがあります。
症状が一時的に悪化(いびきの音が大きくなる)する場合もありますが、通常1〜2日でおさまります。
まれに口内炎症状を起こす場合もありますが、これも通常は数日で改善します。
効果には個人差があり、すべての方に同じように効果があるわけではありません。
治療効果の持続期間にも個人差があります。
治療を始める前に詳細な検査を行い、無呼吸の原因を正確に把握することが重要です。マウスピース作成前のCTやセファロによる撮影を通し顎関節の検査や気道の評価、マウスピース下顎を前方に移動させた際の効果予測、薬物睡眠下内視鏡検査などを通じて、気道閉塞のパターンや部位を特定することで、より効果的な治療計画を立てることができます。
よくある質問(Q&A)
ナイトレーズ治療について、患者さんからよく寄せられる質問にお答えします。
Q1: ナイトレーズ治療は痛いですか?
A: ほとんど痛みを感じません。レーザー照射時に温かさを感じる程度で、麻酔なしでも治療可能です。海外の研究では、40人中39人が痛みを感じなかったと報告されています。
Q2: 治療後、すぐに日常生活に戻れますか?
A: はい、治療直後から通常の生活が可能です。治療当日と翌日は刺激物やアルコールを控える程度で、通常の食事や仕事に支障はありません。
Q3: 効果はどのくらいで実感できますか?
A: 個人差がありますが、多くの方は2〜3回目の治療から効果を実感し始めます。早い方では初回治療後から変化を感じる場合もあります。
Q4: 治療効果はどのくらい続きますか?
A: 一般的に効果の持続期間は1〜3年程度ですが、個人差があります。6ヶ月〜1年に一度のメンテナンス治療を受けることで、効果を長く維持できます。
Q5: 睡眠時無呼吸症候群にも効果がありますか?
A: 軽症の閉塞型睡眠時無呼吸症候群(AHI<15/hr)には効果が期待できますが、中等症〜重症の場合は効果が限定的な可能性があります。この際はCPAPやマウスピースの併用が推奨されることもあり、事前の適切な診断と評価が重要です。
まとめ
東京BTクリニック医科・歯科では、いびきでお悩みの方に最適な治療法をご提案しています。ナイトレーズ治療に関するご質問やご相談は、お気軽にお問い合わせください。
いびきは単なる音の問題ではなく、健康リスクにも関わる重要な問題です。適切な治療で、あなたとパートナーの快適な睡眠を取り戻しましょう。

著者情報 医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士 東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO 【経歴】 東京歯科大学 総合歯科 東京歯科大学 インプラント専門外来 医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業 日本大学松戸歯学部非常勤講師 【資格・所属学会】 PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター 日本口腔インプラント学会 専門医

