2025年11月19日

ナイトレーズとは?いびき治療の新たな選択肢
いびきの悩みに対する新たな治療法として注目されているのが「ナイトレーズ」です。この治療法は、Er:YAG(エルビウムヤグ)レーザーを使用した非侵襲的ないびき治療で、口腔内の軟口蓋や口蓋垂、舌側に照射することで組織を引き締め、いびきを改善します。
従来のいびき治療と比較して、痛みがほとんどなく、麻酔も不要、出血もなく、治療後すぐに食事ができるという大きなメリットがあります。では、このナイトレーズ治療の効果はいつから実感できるのでしょうか。
ナイトレーズの仕組みと効果の発現メカニズム
ナイトレーズ治療の効果を理解するためには、まずその仕組みを知ることが重要です。ナイトレーズでは、Fotona社製のEr:YAGレーザーを使用します。このレーザーは口腔内の軟口蓋や口蓋垂(のどちんこ)、舌側に照射されます。
レーザーの熱エネルギーによって、組織内のコラーゲンが増生し、緩んだ軟部組織が引き締まるのです。具体的には、レーザー照射によって深さ500μmのUpper Dermis Layerを61〜63℃まで加熱します。この熱刺激によって組織にコラーゲンが増生し、いびきの原因となる喉の口蓋垂と口蓋弓、舌側を切除することなく縮小させます。
これにより気道が広がり、呼吸時の粘膜の振動が減少し、いびきの発生を抑制する効果が期待できます。従来の外科的手術では軟口蓋や口蓋垂を切除していましたが、ナイトレーズではレーザーの熱エネルギーを利用して組織を引き締めるため、切開や縫合が不要なのです。
ナイトレーズの照射モードとその効果
ナイトレーズには主に2つの照射モードがあります。「LPモード」(ロングパルスモード)と「SMOOTHモード」(非アブレーションモード)です。LPモードは表層へのアプローチに効果的で、SMOOTHモードはより深部の組織へ熱を伝え、コラーゲンの再生を促進します。
最も効果的とされているのは、これら2つのモードを併用する方法です。研究結果からも、SMOOTHモードとLPモードの併用が最も高い治療効果を示すことが確認されています。この組み合わせにより、表層と深部の両方にアプローチすることで、より効果的ないびき改善が期待できるのです。
ナイトレーズの効果はいつから実感できる?
ナイトレーズ治療の効果の実感時期については、個人差があります。
早い方では治療直後からいびきや呼吸の改善効果を実感できることもあります。しかし、多くの場合は2〜3週間間隔で2〜3回の施術を受けることで安定した効果が得られるようになります。
1回目の治療ではコラーゲン収縮による即時効果が中心となります。これは軟部組織が熱によって一時的に収縮する効果です。その後の回数を重ねることで、コラーゲン再生による中長期的な効果が強化されていきます。
効果を実感するまでの一般的なタイムライン
ナイトレーズ治療の効果を時系列で見ていくと、おおよそ以下のようなタイムラインになります:
治療直後〜数日間:一部の患者さんでは即時的な改善を実感。のどの違和感を感じることもありますが、通常は1時間程度で解消します。
1回目の治療:初期効果を実感する方が増えてきます。いびきの音量や頻度の減少が見られることがあります。
2回目の治療後:多くの患者さんがこの時点で明らかな効果を実感します。
3回目の治療後:効果が安定してきます。いびきの大幅な減少や睡眠の質の向上を実感する方が多いです。
症状の重さや口腔内の形状によっては4回以上必要なケースもあります。治療前の適切な診断と、個々の状態に合わせた治療計画の立案が重要です。クリニックでは、事前に回数や期間の目安を提示してくれるため、スケジュールや費用計画を立てやすいのもメリットと言えるでしょう。
ナイトレーズの効果持続期間と維持方法
ナイトレーズ治療の効果は永久的ではありません。効果の持続期間は個人差がありますが、一般的には1年から3年程度とされています。加齢や筋肉の緩み、体重増加などの影響で徐々に軟口蓋が元の状態に戻っていく可能性があります。
しかし、定期的なメンテナンス治療を受けることで、効果を長く維持することが可能です。通常、効果を持続させるためには6ヶ月〜1年に一度のメンテナンス治療が推奨されています。
また、効果の持続期間を延ばすためには、生活習慣の改善も重要です。肥満はいびきの大きな原因の一つですので、適正体重の維持に努めることが効果の持続に役立ちます。さらに、アルコールの過剰摂取や喫煙、睡眠薬の使用なども、いびきを悪化させる要因となりますので注意が必要です。
効果を最大化するための生活習慣のアドバイス
ナイトレーズ治療の効果を最大限に引き出し、長く維持するためには、以下のような生活習慣の改善も併せて行うことをお勧めします:
適正体重の維持:肥満はいびきの主要な原因の一つです。適切な食事と運動で体重管理を行いましょう。
睡眠姿勢の工夫:仰向けで寝ると舌が喉の奥に落ち込みやすくなります。横向きで寝ることでいびきを軽減できることがあります。
アルコール摂取の制限:就寝前のアルコール摂取は喉の筋肉を弛緩させ、いびきを悪化させます。
禁煙:喫煙は喉の粘膜を刺激し、炎症を引き起こします。これにより気道が狭くなり、いびきが発生しやすくなります。
規則正しい睡眠習慣:十分な睡眠時間を確保し、規則正しい睡眠スケジュールを維持しましょう。
これらの生活習慣の改善とナイトレーズ治療を組み合わせることで、より効果的かつ持続的ないびき改善が期待できます。ただし、重度の睡眠時無呼吸症候群がある場合は、ナイトレーズ治療だけでなく、他の治療法との併用も検討する必要があるかもしれません。
ナイトレーズ治療に適した人とそうでない人
ナイトレーズ治療はすべての方に同じように効果があるわけではありません。治療効果を最大化するためには、適応となる方とそうでない方を見極めることが重要です。
私の臨床経験からも、患者さんの状態によって効果の出方には個人差があることを実感しています。事前の適切な診断と評価が、治療成功の鍵となるのです。
ナイトレーズ治療が効果的な方の特徴
ナイトレーズ治療が特に効果的なのは、以下のような特徴を持つ方です:
非肥満体型(BMI<30kg/m2)の方:肥満度が低い方が効果を得やすい傾向があります。
軽症の閉塞型睡眠時無呼吸(AHI<15/hr)の方:重症度が低いほど、ナイトレーズ単独での効果が期待できます。
口蓋垂が太くて長い方:治療のターゲットとなる部位の特徴が明確な場合、効果が出やすくなります。
軟口蓋低位の方:軟口蓋の位置が低い場合、レーザー照射の効果が得られやすくなります。
単純性いびき症の方:睡眠時無呼吸を伴わない単純ないびきの場合、効果が高い傾向があります。
CPAPが合わない・使い続けられない方:CPAPの代替治療として有効です。
外科的手術に抵抗がある方:非侵襲的な治療を希望する方に適しています。
マウスピースの効果を最大化させたい:ナイトレーズ治療との併用でマウスピースの装置の効果も最大化されます。
効果が出にくい可能性がある方
一方で、以下のような方には効果が出にくい可能性があります:
高度肥満(BMI≧30)の方:肥満度が高い場合、軟部組織の引き締め効果だけでは十分な改善が得られないことがあります。
中等症~重症の睡眠時無呼吸症候群(AHI>15/hr)の方:重症度が高い場合、ナイトレーズ単独では十分な効果が得られないことがあります。
鼻疾患(副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎など)によるいびきの方:原因が口腔内ではなく鼻にある場合、効果が限定的になります。
扁桃腺肥大が原因のいびきの方:扁桃腺肥大が主原因の場合、効果が限られる可能性があります。
いびき軽減を目的としてナイトレーズ治療を受ける場合は、術前の睡眠呼吸障害の重症度と肥満度を把握すること、上気道の閉塞部位を特定することが大切です。これにより、治療効果の予測や、必要に応じて他の治療法との併用を検討することができます。
実際の治療風景
私が模擬患者になった、実際の治療風景です。治療は主に三段階に分けて行われます。
※音量にご注意ください。
余熱
MTS(熱レーザーでのアプローチ)
仕上げ
ナイトレーズ治療の費用と注意点
ナイトレーズ治療を検討する際には、費用や注意点についても理解しておくことが大切です。私は患者さんに対して、治療のメリットだけでなく、限界や注意点についても正直にお伝えするようにしています。期待値を適切に設定することで、治療結果に対する満足度も高まるからです。
ナイトレーズ治療の費用相場
ナイトレーズ治療の費用は医療機関によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです:
1回あたりの治療費:約5万円〜11万円
3回コース:約15万円〜30万円
6回コース:約28万円〜60万円
メンテナンス1回:約4万円〜5万円
なお、ナイトレーズ治療は保険適用外の自由診療となるため、全額自己負担となります。また、医療機関によってはモニター価格や割引コースなどを設けている場合もあります。
治療の注意点とリスク
ナイトレーズ治療は比較的安全な治療ですが、いくつかの注意点やリスクがあります:
一時的な喉の違和感:レーザーを照射したことにより、喉の粘膜が一時的に炎症を起こし、喉風邪のような症状(喉の腫れやイガイガ感)を感じることがあります。
症状の一時的な悪化:治療直後にいびきの音が大きくなる場合もありますが、通常1〜2日でおさまります。
口内炎症状:まれに口内炎症状を起こす場合もありますが、これも通常は数日で改善します。
個人差のある効果:効果には個人差があり、すべての方に同じように効果があるわけではありません。
効果の持続期間の個人差:治療効果の持続期間にも個人差があります。
これらの注意点を理解した上で、ご自身の状態に合った治療法を選択することが重要です。また、重度の睡眠時無呼吸症候群がある場合は、ナイトレーズ治療だけでなく、他の治療法との併用も検討する必要があるかもしれません。
まとめ:ナイトレーズ治療の効果と選択のポイント
ナイトレーズ治療は、Er:YAGレーザーを用いた非侵襲的ないびき治療法として、多くの方に選ばれています。痛みがほとんどなく、麻酔も不要、出血もなく、治療後いびきは単なる音の問題ではなく、睡眠の質低下や様々な健康リスクを引き起こす可能性がある症状です。ナイトレーズ治療を検討される際は、専門医による適切な診断と評価を受け、ご自身の状態に合った治療法を選択することをお勧めします。
当院では、ナイトレーズ治療をはじめ、マウスピース治療や顎顔面骨格矯正など、患者様の状態に合わせた様々な睡眠時無呼吸症候群治療をご用意しています。いびきでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

著者情報 医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士 東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO 【経歴】 東京歯科大学 総合歯科 東京歯科大学 インプラント専門外来 医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業 日本大学松戸歯学部非常勤講師 【資格・所属学会】 PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター 日本口腔インプラント学会 専門医

