睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の意外な関係性とは|東京BTクリニック歯科・医科|歯と膝の再生治療|東京駅近く

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睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の意外な関係性とは

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の意外な関係性とは|東京BTクリニック歯科・医科|歯と膝の再生治療|東京駅近く

2025年7月17日

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の密接な関係

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と生活習慣病。一見すると別々の病気のように思えるかもしれませんが、実はこの2つは密接に関連しています。

夜間のいびきや息が止まる症状として知られる睡眠時無呼吸症候群は、単なる睡眠の問題ではなく、全身の健康に影響を及ぼす重大な疾患です。特に高血圧、糖尿病、心不全、脳卒中などの生活習慣病との関連性が近年注目されています。

睡眠時無呼吸症候群を有する方は、一般の方と比較して、高血圧リスクが約2倍、心不全は約3倍、脳卒中は3~5倍もの確率で発症するという報告があるのです。これは決して軽視できない数字ではないでしょうか。

私は長年にわたり睡眠時無呼吸症候群の研究と診療に携わってきました。多くの患者さんが適切な治療によって睡眠の質が改善されるだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の状態も良くなっていくのを目の当たりにしてきました。

なぜ睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病がこれほど密接に関連しているのでしょうか。そして、どちらかを改善することで、もう一方にも良い影響を与えることができるのでしょうか。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の関連性について、医学的知見をもとに詳しく解説していきます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは何か

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まったり、浅くなったりする病気です。10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上起こる状態を指します。

主な症状としては、大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気、起床時の頭痛やだるさ、集中力の低下などが挙げられます。これらの症状は生活の質を著しく低下させるだけでなく、長期的には様々な健康問題を引き起こす原因となります。

睡眠時無呼吸症候群の大きな要因の1つに肥満があります。体重が10%増えるごとに、睡眠中の無呼吸または低呼吸が32%増加するという報告もあるのです。

睡眠時無呼吸症候群には主に「閉塞性」と「中枢性」の2つのタイプがあります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、上気道が物理的に狭くなることで起こり、最も一般的なタイプです。一方、中枢性睡眠時無呼吸症候群は、脳から呼吸筋への信号に問題が生じることで発症します。

日本では約300万人が睡眠時無呼吸症候群に悩まされていると推定されていますが、実際に診断・治療を受けている人はその一部に過ぎません。多くの方が自分の症状に気づいていなかったり、単なる「いびき」の問題と軽視していたりするのが現状です。

周りからいびきをよく指摘される、夜中によく目が覚める、起きたときにだるい、日中に眠気があるなどの症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を考え、一度検査を受けることをお勧めします。

生活習慣病との双方向の関係性

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は、互いに影響し合う関係にあります。生活習慣病が睡眠時無呼吸症候群を悪化させる一方で、睡眠時無呼吸症候群も生活習慣病を悪化させるのです。

この関係性を理解することは、効果的な治療アプローチを考える上で非常に重要です。どちらか一方の改善が、もう一方の改善にもつながる可能性があるからです。

生活習慣病が睡眠時無呼吸症候群に与える影響

肥満は睡眠時無呼吸症候群の最大のリスク因子の一つです。特に首周りや上気道周辺に脂肪がつくと、睡眠中に気道が塞がりやすくなります。メタボリックシンドロームや糖尿病を発症している方は肥満であるケースが多いため、それらの生活習慣病の方は睡眠時無呼吸症候群を併発している可能性が高いのです。

また、糖尿病患者さんでは自律神経障害により、呼吸をコントロールする神経機能に影響が出ることがあります。これが中枢性睡眠時無呼吸症候群のリスクを高める可能性があるのです。

高血圧も睡眠時無呼吸症候群と密接に関連しています。高血圧は血管の緊張を高め、上気道の浮腫(むくみ)を引き起こすことがあります。これが気道の狭窄を悪化させ、睡眠時無呼吸症候群の症状を増悪させる可能性があるのです。

睡眠時無呼吸症候群が生活習慣病に与える影響

睡眠時無呼吸症候群は、様々なメカニズムを通じて生活習慣病のリスクを高めます。無呼吸状態から呼吸が再開するとき、体は「覚醒反応」と呼ばれる状態になります。この時、交感神経が活性化し、血圧の上昇や心拍数の増加が起こります。

一晩に何度も繰り返されるこの覚醒反応は、長期的には高血圧のリスクを高めます。実際、米国高血圧学会や日本高血圧学会のガイドラインでは、睡眠時無呼吸症候群が高血圧症の原因疾患として位置づけられているのです。

睡眠時無呼吸症候群はインスリンの働きも悪くします。低酸素状態と睡眠の分断が、インスリン抵抗性を高め、糖代謝に悪影響を与えるのです。これが糖尿病の発症リスクを高めたり、既存の糖尿病を悪化させたりする原因となります。

さらに、睡眠時無呼吸症候群による慢性的な低酸素状態は、心臓や血管にも負担をかけます。これが心不全や不整脈のリスクを高め、脳卒中などの深刻な合併症につながる可能性があるのです。

睡眠時無呼吸症候群が引き起こす主な生活習慣病

睡眠時無呼吸症候群は様々な生活習慣病のリスクを高めることが知られています。ここでは、特に関連性の強い疾患について詳しく見ていきましょう。

高血圧症

睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係は非常に強固です。睡眠中の無呼吸発作が起きると、血中酸素濃度が低下し、体は酸素を取り込もうと必死になります。この時、交感神経が活性化し、血管が収縮して血圧が上昇するのです。

当センターの経験でも、検査時に血圧をお答えいただいた約6万人のうち、睡眠時無呼吸症候群の疑いが極めて強いと判定された割合は、高血圧(最高血圧140mmHg以上)の人では、正常血圧の人に比べ3倍にも上っていました。

特に注目すべきは、夜間に血圧が下がらない「ノンディッパー型」高血圧の患者さんに睡眠時無呼吸症候群が多く見られることです。通常、健康な人では夜間に血圧が10~20%程度低下しますが、睡眠時無呼吸症候群の患者さんではこの低下が見られないことが多いのです。

糖尿病

睡眠時無呼吸症候群は糖尿病の発症リスクを高め、既存の糖尿病を悪化させることが知られています。その主なメカニズムは、インスリン抵抗性の増加です。

睡眠時無呼吸症候群による慢性的な低酸素状態と睡眠の分断は、体内の炎症反応を引き起こし、インスリンの働きを妨げます。また、睡眠不足によるホルモンバランスの乱れも、血糖コントロールに悪影響を及ぼすのです。

興味深いことに、睡眠時無呼吸症候群の治療によって血糖値が改善するという報告もあります。特にCPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療は、糖尿病患者さんの血糖コントロールを改善する可能性があるのです。

心疾患

睡眠時無呼吸症候群は様々な心疾患のリスクを高めます。無呼吸による低酸素状態は心臓に大きな負担をかけ、長期的には心筋の障害や心機能の低下を引き起こす可能性があります。

特に注目すべきは不整脈との関連です。睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、心房細動などの不整脈のリスクが高まることが知られています。また、心不全患者さんの30~50%に睡眠時無呼吸症候群が合併しているという報告もあります。

睡眠時無呼吸症候群の治療は、心疾患のリスク低減にも効果的です。適切な治療によって心血管イベントのリスクが減少することが、複数の研究で示されています。

睡眠時無呼吸症候群の診断と検査方法

睡眠時無呼吸症候群の診断には、まず問診と身体診察から始まります。いびきの有無、日中の眠気、起床時の頭痛やだるさなどの症状について詳しく聞き取りを行います。

また、肥満度(BMI)や首周りの測定、上気道の観察なども重要な診断情報となります。特に、BMIが25以上の方や首周りが男性で40cm以上、女性で38cm以上の方は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高いとされています。

睡眠時無呼吸症候群の確定診断には、睡眠検査が必要です。検査には主に以下の2種類があります。

簡易検査(在宅睡眠検査)

簡易検査は自宅で行う検査で、小型の機器を装着して就寝します。この検査では、酸素飽和度、気流、いびき、体位などを測定し、無呼吸・低呼吸の回数や程度を評価します。

手軽に行える検査ですが、睡眠の質や脳波などの詳細な情報は得られないため、重症度の評価には限界があります。しかし、スクリーニング検査として非常に有用です。

終夜ポリソムノグラフィー(PSG)

終夜ポリソムノグラフィーは、睡眠医療施設で一晩かけて行う詳細な検査です。脳波、眼球運動、筋電図、心電図、呼吸状態、酸素飽和度など、多くのパラメーターを同時に測定します。

この検査では、無呼吸・低呼吸の回数だけでなく、睡眠の質や睡眠段階、覚醒反応なども詳細に評価できるため、より正確な診断が可能です。特に重症例や他の睡眠障害との鑑別が必要な場合に有用です。

検査結果から算出される無呼吸低呼吸指数(AHI)によって、睡眠時無呼吸症候群の重症度が判定されます。AHIが5以上15未満で軽症、15以上30未満で中等症、30以上で重症と診断されます。

診断後は、重症度や患者さんの状態に応じて適切な治療法が選択されます。軽症から中等症の場合は生活習慣の改善や口腔内装置が、中等症から重症の場合はCPAP療法が主に選択されます。

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の包括的治療アプローチ

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は密接に関連しているため、両者を包括的に治療することが重要です。ここでは、効果的な治療アプローチについて解説します。

CPAP療法

CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、睡眠時無呼吸症候群の最も効果的な治療法の一つです。マスクを通じて一定の圧力の空気を送り込むことで、気道の閉塞を防ぎます。

CPAP療法は、睡眠の質を改善するだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病にも良い影響を与えることが知られています。特に、治療抵抗性高血圧(複数の降圧薬を使用しても血圧がコントロールできない状態)の患者さんでは、CPAP療法によって血圧が改善することがあります。

また、糖尿病患者さんでも、CPAP療法によってインスリン感受性が改善し、血糖コントロールが良くなるという報告があります。心疾患のリスク低減効果も複数の研究で示されています。

生活習慣の改善

体重管理は睡眠時無呼吸症候群の治療において非常に重要です。体重が10%減少すると、AHIが26%減少するという報告もあります。また、適度な運動は体重管理だけでなく、睡眠の質の改善にも役立ちます。

食生活の改善も重要です。特に夕食は就寝の3時間前までに済ませ、アルコールや睡眠薬の摂取を控えることが推奨されます。アルコールは筋肉を弛緩させ、気道閉塞のリスクを高めるからです。

睡眠姿勢も睡眠時無呼吸症候群の症状に影響します。仰向けで寝ると重力の影響で舌が後方に落ち込み、気道を塞ぎやすくなります。横向きで寝ることで症状が改善することがあります。

口腔内装置

口腔内装置(マウスピース)は、下顎を前方に引き出すことで気道を広げる装置です。軽症から中等症の睡眠時無呼吸症候群の患者さんや、CPAP療法に適応できない患者さんに有効です。

歯科医師が患者さん一人ひとりの口腔内に合わせて作製するため、装着感も良く、継続使用しやすいという利点があります。ただし、効果はCPAP療法よりも劣るため、定期的な効果の確認が必要です。

東京BTクリニック歯科・医科では、噛み合わせ専門医が患者様一人ひとりの顎関節の状態に合わせて、睡時無呼吸症候群に対しCTやセファログラムで撮影したデータを元に作成した精密な固定式、可動式のマウスピース装置の作製と調整を行っています。患者さん一人ひとりの状態に合わせた装置を提供し、定期的なフォローアップも行っています。

顎顔面骨格矯正

睡眠時無呼吸症候群の根本的な原因に対処するため、外科的治療も有効な選択肢の一つです。これまで一般的だったのは、下顎を前方に移動させる手術であり、2~4週間の入院が必要でした。近年では、上顎の狭さが気道に与える悪影響を改善するための「顎顔面骨格矯正」が行われるようになっています。この手術は静脈鎮静法を用いて日帰りで実施可能で、手術時間はおよそ2~3時間です。さらに、PRGF療法(多血小板血漿由来成分を利用した治療)を併用することで、術後の痛みや腫れを軽減し、翌日から通常の生活に復帰できるという大きな利点があります。

東京BTクリニック歯科・医科の睡眠時無呼吸症候群治療

2025年4月30日に新規開院した東京BTクリニック歯科・医科では、睡眠時無呼吸症候群に対する包括的な治療を提供しています。「BT」は「Benefit(ベネフィット)」と「Treatment(トリートメント)」を意味し、患者様一人ひとりに合わせた治療を通じて、口腔だけでなく体全体の健康をサポートすることを理念としています。

当クリニックの睡眠時無呼吸症候群治療の特徴は、歯科と医科の連携による総合的なアプローチです。歯科医師と医師が協力して診断から治療まで一貫したケアを提供します。

睡眠時無呼吸症候群の診断には、問診や身体診察に加え、必要に応じて簡易睡眠検査や精密検査を実施します。診断結果に基づいて、患者さん一人ひとりに最適な治療法を提案します。

治療オプションとしては、口腔内装置の作製・調整、生活習慣の改善指導、必要に応じてCPAP療法の導入などがあります。特に口腔内装置は、当クリニックの歯科医師が患者さんの口腔内状態を詳細に評価した上で、最適な装置を作製します。

また、睡眠時無呼吸症候群と関連する生活習慣病(高血圧、糖尿病など)についても、総合的な管理を行います。定期的な検査と評価により、治療効果を確認し、必要に応じて治療計画を調整します。

睡眠時無呼吸症候群でお悩みの方、CPAPを使い続けられない方、いびきを改善したい方は、ぜひ東京BTクリニック歯科・医科にご相談ください。カウンセリングやセカンドオピニオン相談も受け付けています。

東京駅近くに位置し、アクセスも便利です。現在はWEB予約のみの受付となっていますが、2025年5月12日からは電話予約も開始しています。

まとめ:睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の包括的管理の重要性

睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病は密接に関連しており、互いに影響し合う関係にあります。睡眠時無呼吸症候群は高血圧、糖尿病、心疾患などの生活習慣病のリスクを高め、逆に生活習慣病も睡眠時無呼吸症候群を悪化させる要因となります。

この双方向の関係性を理解することは、効果的な治療アプローチを考える上で非常に重要です。どちらか一方だけを治療するのではなく、両者を包括的に管理することが、健康改善への近道となります。

睡眠時無呼吸症候群の治療には、CPAP療法、口腔内装置、生活習慣の改善などがあります。特にCPAP療法は、睡眠の質を改善するだけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病にも良い影響を与えることが知られています。

しかし、最も重要なのは早期発見・早期治療です。いびきや日中の強い眠気などの症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性を考え、専門医への相談をお勧めします。

東京BTクリニック歯科・医科では、睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病の包括的な管理を提供しています。歯科と医科の連携による総合的なアプローチで、患者さん一人ひとりに最適な治療を提案します。

睡眠の質を改善することは、生活習慣病の予防・改善にもつながります。質の良い睡眠は、健康的な生活の基盤です。睡眠でお悩みの方は、ぜひ専門医にご相談ください。

詳細については、当院のウェブサイトをご覧いただくか、直接お問い合わせください。皆様の健康的な生活をサポートするために、私たちは常に最善の医療を提供することをお約束します。

著者情報                                              医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士                                      東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO                        【経歴】                                               東京歯科大学 総合歯科                                        東京歯科大学 インプラント専門外来                                  医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業                               日本大学松戸歯学部非常勤講師                                    【資格・所属学会】                                           PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター                            日本口腔インプラント学会 専門医                                  日本臨床補綴学会 専門医                                       日本歯周病学会 認定医                                         IDIA顎顔面外科矯正 指導医                                     日本睡眠学会                                            日本睡眠歯科学会

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