2026年1月06日

いびきと鼻づまりの深い関係性
いびきの背景には「鼻づまり」が深く関わっているケースが非常に多いのです。風邪やアレルギー性鼻炎などで鼻の通りが悪くなると、無意識のうちに口呼吸へと移行し、その結果として気道が狭まり、いびきが発生しやすくなります。
この記事では、いびきと鼻づまりの関係性、そして原因別の治療法と改善策について詳しく解説します。単なる不快な症状として放置せず、根本的な原因を理解し、適切な対処を行うことが、健やかな睡眠と日常生活の質向上につながります。
鼻づまりがいびきを引き起こすメカニズム
鼻づまりといびきの関係を理解するには、まず呼吸の仕組みを知る必要があります。
本来、人間の呼吸は鼻で行うのが基本です。鼻には吸い込んだ空気をフィルタリングし、加温・加湿する重要な機能が備わっています。鼻毛や粘膜がホコリやウイルス、細菌などの異物を除去し、冷たく乾いた空気を肺に優しい温度と湿度に調整してくれるのです。
上気道の炎症と空気の通り道の狭窄
上気道とは、鼻や口から喉までの空気の通り道を指します。風邪やアレルギー性鼻炎などで上気道に炎症が起こると、鼻腔内の粘膜が腫れ、空気の通り道が狭くなります。この状態が「鼻づまり」です。
鼻づまりによって鼻呼吸が困難になると、体は自然と口呼吸に切り替わります。しかし、口呼吸には大きな問題があります。睡眠中に口を開けて呼吸すると、舌の付け根(舌根)が重力によって喉の奥に落ち込みやすくなり、上気道がさらに狭まるのです。
狭くなった気道を空気が通過する際、喉の粘膜(特に軟口蓋や口蓋垂)が振動し、これがいびきの音として発生します。つまり、いびきは「鼻づまりによって気道が狭くなっている可能性がある」という体からの危険信号なのです。
口呼吸がもたらす悪循環
口呼吸は、いびきを引き起こすだけではありません。
口の中が乾燥すると、粘膜が炎症を起こしやすくなり、さらに気道が狭まるという悪循環が生じます。また、口呼吸では鼻が持つフィルター機能や加湿・加温機能が働かないため、冷たく乾いた空気が異物とともに直接喉や気管に入り込み、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。虫歯や歯周病、口臭の原因にもなるため鼻づまりを放置することはいびきや健康悪化の温床となるのです。
このように、鼻づまりから始まる口呼吸は、いびきだけでなく、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
鼻づまりを引き起こす主な原因
鼻づまりの原因は多岐にわたります。適切な治療を行うためには、まず原因を正しく特定することが重要です。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダスト、ダニなどのアレルゲンが原因で鼻の粘膜が炎症を起こす疾患です。通年性アレルギー性鼻炎と季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)に分けられます。
アレルギー性鼻炎にかかると、鼻腔内の毛細血管が拡張・収縮を繰り返し、粘膜が腫れることで鼻の通りが悪くなります。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れ、日常生活の質を大きく低下させることがあります。
日本では春先にスギ花粉が多く飛散し、多くの方がこの時期に症状を訴えます。また、ハウスダストやダニが原因の場合は、一年を通して症状が出るのが特徴です。
副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔炎は、鼻腔とつながっている副鼻腔(額、鼻の横、頬、鼻の真裏にある空洞)に炎症が起こる疾患です。風邪を引き起こす細菌やウイルスに感染すると起こりやすくなります。
鼻水が透明で水っぽい状態から、緑や黄色のネバネバとした状態に変わると、細菌感染の可能性が高まります。ネバネバとした鼻水は細い鼻腔に詰まりやすく、鼻づまりの原因となります。また、頬や額の痛み、頭痛、嗅覚障害などの症状も伴うことがあります。
鼻中隔湾曲症
鼻の中央部分には、左右の鼻腔を隔てる「鼻中隔」という壁があります。この鼻中隔が左右どちらかに大きく曲がっていると、空気の流れが滞り、鼻づまりが起こりやすくなります。
多くの方は鼻中隔が多少曲がっていますが、日常生活に支障がなければ特に問題はありません。しかし、風邪を引いておらず、アレルギー性鼻炎も患っていないにもかかわらず慢性的な鼻づまりがある場合は、鼻中隔湾曲症の可能性が高いと考えられます。
鼻茸(鼻ポリープ)
鼻茸は、鼻の粘膜が炎症を起こし、鼻腔に飛び出すことでできるポリープです。副鼻腔炎と併発することが多いですが、鼻茸単独で発症する場合もあります。
鼻づまりのほかに、膿のような鼻水が出るのも特徴です。鼻茸を根本的に治療するには、摘出手術が必要となる場合があります。
その他の原因
子供の場合、アデノイド(鼻の奥にあるリンパ組織)の腫れや肥大が鼻づまりの原因となることがあります。アデノイドは3歳から6歳頃に大きくなりやすく、その後徐々に小さくなっていきますが、肥大が著しい場合は気道を圧迫し、いびきや睡眠時無呼吸症候群の原因となることがあります。
また、飲酒によるアルコールの血管拡張作用や、空気の乾燥による鼻粘膜の炎症なども、一時的な鼻づまりの原因となります。
自宅でできる鼻づまり・いびき改善策
医療機関での治療と並行して、日常生活での工夫も大切です。以下の対策を取り入れることで、鼻づまりやいびきの症状を軽減できる可能性があります。
寝室の環境を整える
乾燥した部屋で過ごすと、鼻の粘膜が乾燥しやすく、鼻づまりが悪化する原因になります。加湿器を利用して湿度を保ち、鼻が乾燥しない快適な環境づくりを心がけましょう。加湿器がない場合でも、濡れタオルを干すだけで一定の効果が得られます。特に空気が乾燥しやすい冬場は、鼻づまりの予防として湿度管理が重要です。
また、寝具の見直しもポイントです。枕が高すぎたり低すぎたりすると、首や上気道が圧迫され、いびきや鼻づまりを起こしやすくなります。
理想的な高さは、頭を乗せたときに首や肩が自然な角度で保たれている状態です。
さらに、仰向け寝より横向き寝のほうが鼻づまりを緩和しやすく、いびきも出にくいとされています。
生活習慣の見直し
アルコールには血管を拡張させる作用があり、鼻の粘膜を腫らせて鼻づまりを悪化させます。また、筋肉を緩める働きがあるため、喉や舌のまわりがたるみ、気道が狭くなることでいびきも出やすくなります。いびきと鼻づまりを改善するためには、過度の飲酒や就寝前のアルコール摂取は控えましょう。
タバコの煙も鼻粘膜を刺激し、慢性的な鼻づまりや鼻炎の原因になります。禁煙は、いびきだけでなく鼻づまりの改善にも大きく効果があります。さらに、喫煙による喉の炎症や乾燥を防ぐことで、呼吸の通りも良くなります。
肥満によって首や舌に脂肪がつくと、睡眠中に気道を圧迫していびきを引き起こすだけでなく、鼻腔周囲にも脂肪がついて鼻づまりが起こりやすくなることが知られています。体重が標準より多い方は、食生活の見直しと適度な運動で健康的な体重を維持することが、いびき・鼻づまりの両方に効果的です。
鼻呼吸を促す補助グッズの活用
鼻づまりを改善し、鼻呼吸をサポートするための補助グッズも役立ちます。
たとえば、鼻の内側に入れて空気の通りを確保する「鼻腔拡張チューブ」や、鼻の外側から広げる「鼻腔拡張テープ」などがあります。これらを使うことで、睡眠中の鼻づまりを軽減し、いびきを防止できる場合があります。ただし、これらはあくまで一時的な対処法にすぎません。根本的な鼻づまりの原因(アレルギー・副鼻腔炎・構造的な問題など)を改善しなければ、いびきも再発しやすくなります。
症状が長く続く場合は、早めに専門の医療機関に受診しましょう。
いびきが睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれない
鼻づまりと睡眠時無呼吸症候群の関係
睡眠時無呼吸症候群は、喉の奥が塞がることで起こる「閉塞型」が最も多いタイプですが、その根本には鼻づまりによる鼻呼吸の障害が関わっていることも少なくありません。鼻づまりの状態が続くと、体は無意識に口呼吸に切り替えます。
口呼吸になると、舌の付け根が喉の奥に落ち込みやすくなり、気道が狭くなることでいびきが発生します。さらに気道の閉塞が強くなると、呼吸が一時的に止まる「無呼吸状態」に陥るのです。
特に、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などで慢性的に鼻づまりがある方は注意が必要です。鼻づまりが続くと、常に気道が狭くなった状態で眠ることになり、その結果、いびきや無呼吸のリスクが高まることが分かっています。
睡眠時無呼吸症候群がもたらす健康リスク
鼻づまりやいびきに伴う無呼吸状態では、呼吸が止まるたびに体内の酸素が不足します。この酸欠状態が繰り返されると、体はストレス反応を起こし、心臓や血管に負担をかけることで、高血圧・不整脈、心筋梗塞・脳卒中疾患、糖尿病や脂質異常症などのリスクが高まります。
さらに、鼻づまりによる慢性的な睡眠の質の低下は、日中の強い眠気や集中力の低下、倦怠感、うつ症状などにもつながります。
鼻づまり・いびきに隠れる危険サイン
次のような症状がある場合は、鼻づまりやいびきの裏に睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
毎晩のように激しいいびきをかく
鼻づまりが慢性的にあり、寝るときに口呼吸になっている
睡眠中に呼吸が止まっていると指摘された
夜中に何度も目が覚める
朝起きたときに頭痛や喉の渇きを感じる
日中に強い眠気や集中力の低下がある
最近、イライラしやすくなった
これらの症状がある場合は、早めに耳鼻咽喉科や睡眠専門医に相談しましょう。
当院での診療について
当院では、鼻づまりを含む上気道の評価を重視した睡眠時無呼吸症候群の診断・治療を行っています。
CT、セファロを用いた精密検査によって、鼻腔・喉・顎のどこで空気の流れが妨げられているのかを特定し、症状に応じてマウスピースやレーザー治療などを提案します。
鼻づまりやいびきに悩む方は、「ただの癖」と思わず、睡眠時無呼吸症候群の可能性を意識して、早めに医療機関を受診することが大切です。
まとめ:鼻づまりといびきは放置せず適切な対処を
いびきと鼻づまりには深い関係性があります。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症などによる鼻づまりは、口呼吸を引き起こし、気道を狭めることでいびきの原因となります。そして、このいびきは睡眠時無呼吸症候群という重大な疾患のサインである可能性もあるのです。
「たかが鼻づまり」「たかがいびき」と侮らず、原因を正しく理解し、適切な治療を受けることが重要です。医療機関での治療と並行して、寝室の環境整備や生活習慣の見直しなど、日常生活での工夫も取り入れましょう。
いびきや鼻づまりでお悩みの方は、一人で悩まず、ぜひ専門医にご相談ください。当院では、患者様一人ひとりの症状に合わせた最適な治療法をご提案いたします。
詳しい治療法や睡眠時無呼吸症候群については、東京BTクリニック歯科・医科までお気軽にお問い合わせください。

著者情報 医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士 東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO 【経歴】 東京歯科大学 総合歯科 東京歯科大学 インプラント専門外来 医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業 日本大学松戸歯学部非常勤講師 【資格・所属学会】 PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター 日本口腔インプラント学会 専門医

