2025年10月24日

インプラントができないと言われた理由と解決策
私はインプラント専門医として長年インプラント治療に携わってきた経験から、「インプラントができない」と言われた方々の悩みを深く理解しています。
実は「インプラントができない」という診断は、必ずしも「永久にできない」という意味ではありません。現代の歯科医療では、骨再生医療などの最新技術により、以前は治療が難しいとされたケースでも解決できることが増えています。
この記事では、インプラント治療ができないと言われる主な理由と、それを克服するための最新技術について詳しくご説明します。特に注目すべきは、私たち東京BTクリニックで提供している「PRGF」を用いた骨再生医療です。
骨量不足に悩み、他院でインプラントを断られた方にとって、新たな希望となる情報をお届けします。
顎の骨量不足がインプラント治療を妨げる理由
インプラント治療が難しいと判断される最も一般的な理由は、顎の骨量不足です。インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込む治療法であるため、十分な骨の量と質が必要不可欠なのです。
骨量が不足する主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
歯を失ってから長期間経過している
重度の歯周病により骨が溶けている
抜歯後の骨吸収が進んでいる
上顎洞(サイナス)が大きく、骨の厚みが薄い
先天的に顎の骨が薄い
特に上顎の奥歯部分は、上顎洞という空洞があるため骨の厚みが薄くなりがちです。また、下顎では神経の走行位置によって、インプラントを埋入できる位置や深さが制限されることがあります。
歯を失ってから時間が経つと、使われなくなった部分の骨は徐々に痩せていきます。これは「廃用性萎縮」と呼ばれる自然な現象ですが、インプラント治療においては大きな障壁となります。

骨再生医療の進化とインプラント治療への応用
「骨が足りない」という問題に対して、現代の歯科医療は様々な解決策を提供しています。その中でも特に注目されているのが「骨再生医療」です。
骨再生医療とは、失われた骨を人工的に再生させる治療法です。インプラント治療においては、不足している顎の骨を増やし、インプラントを安定して埋入できる環境を整えることを目的としています。
近年の再生医療技術の進歩により、以前は「インプラント適応外」とされていた症例でも治療が可能になってきました。特に注目すべき骨再生技術について、いくつかご紹介します。
GBR法(骨誘導再生法)
GBR(Guided Bone Regeneration)は、骨が不足している部位に人工骨や自家骨を填入し、特殊な膜(メンブレン)で覆うことで骨の再生を促す治療法です。
この膜は、骨の再生に必要な細胞だけを選択的に通過させ、不要な軟組織の侵入を防ぐ役割を果たします。これにより、骨だけを効率的に再生させることが可能になります。
GBR法は、水平方向の骨量不足(骨の幅が足りない場合)に特に効果的です。治療後、通常4〜6ヶ月程度で新しい骨が形成され、インプラント埋入が可能になります。
サイナスリフト(上顎洞底挙上術)
上顎の奥歯部分は、上顎洞という空洞があるため骨の高さが不足しがちです。サイナスリフトは、この上顎洞の底を持ち上げ、その空間に骨補填材を入れることで骨の高さを確保する治療法です。
サイナスリフトには、側方からアプローチする方法(ラテラルウィンドウテクニック)と、インプラント埋入予定部位から直接アプローチする方法(ソケットリフトテクニック)があります。
骨の厚みが5mm未満の場合はラテラルウィンドウテクニック、5mm以上ある場合はソケットリフトテクニックが選択されることが多いです。
スプリットクレスト(歯槽堤分割術)
スプリットクレストは、薄くなった歯槽骨を2枚に分割し、その間にインプラントを埋入する方法です。主に上顎前歯部の骨が薄い場合に用いられます。
非常に高度な技術が求められる治療法ですが、骨造成と同時にインプラント埋入ができるため、治療期間を短縮できるメリットがあります。

PRGF療法:自己血液を活用した最先端の骨再生医療
様々な骨再生技術の中でも、特に注目すべき最新技術が「PRGF療法」です。私たち東京BTクリニックでは、このPRGF療法を用いた骨再生医療を提供しています。
PRGFとは患者さん自身の血液から抽出した成長因子を活用して、失われた骨や軟組織を効率的に再生させる技術です。
現在では歯科領域だけでなく、整形外科や美容外科など幅広い分野で活用されています。
PRGF療法の特徴と利点
PRGF療法の最大の特徴は、患者さん自身の血液を使用するという点です。わずか35ccほどの採血で、骨や軟組織を効率よく再生するタンパク質(成長因子)を取り出し、治療部位に応用します。
自己血液を使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクがほとんどなく、安全性が非常に高いのが特徴です。また、従来の再生療法で使用されていた牛や豚などの異種生物由来の材料と比較しても、感染症のリスクが極めて低いという利点があります。
PRGF療法の主な利点は以下の通りです。
高い安全性(自己血液由来のため拒絶反応がない)
治癒期間の短縮(成長因子による組織再生の促進)
痛みや腫れの軽減(抗炎症作用を持つ)
感染リスクの低減(抗菌作用を持つ)
様々な治療への応用が可能(インプラント、歯周病、抜歯窩の保存など)
PRGF療法がなぜ効果的なのか、そのメカニズムを詳しく見ていきましょう。私たちの血液には、傷を治し新しい組織を再生する「成長因子」が多く含まれています。
血液の中でも特に血小板には、様々な成長因子が豊富に含まれています。PRGF療法では、患者さんから採取した血液を特殊な遠心分離機にかけ、成長因子を多く含む血漿(PRGF)を分離します。
PRGFに含まれる主な成長因子には、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)、インスリン様成長因子(IGF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)などがあります。
これらの成長因子はそれぞれ異なる役割を持ち、組織の再生プロセスにおいて相互に作用します。例えば、PDGFは細胞の増殖や血管新生を促進し、TGFは細胞外マトリックスの合成を促進します。
東京BTクリニックにおけるPRGF療法を用いたインプラント治療
東京BTクリニック歯科・医科では、PRGF療法を用いた骨再生医療とインプラント治療を提供しています。他院でインプラントができないと言われた方でも、当院の最新技術により治療が可能になるケースが多くあります。
当院のインプラント治療の流れ
東京BTクリニックでは、インプラント治療を以下の流れで行っています。
初診・カウンセリング(お口の状態の確認、治療計画の説明)
精密検査(CT撮影、口腔内検査)
骨再生治療(必要な場合)
インプラント埋入手術
治癒期間(骨とインプラントの結合を待つ期間)
上部構造装着(人工の歯を取り付ける)
メインテナンス(歯周病の専門家としての視点での長期的な管理)
骨量が不足している場合は、インプラント埋入前にPRGF療法を用いた骨再生治療を行います。また、症例によっては、骨再生治療とインプラント埋入を同時に行うこともあります。
当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画を提案しています。「インプラントができない」と言われた方も、まずはご相談ください。
まとめ:骨再生医療で広がるインプラント治療の可能性
「インプラントができない」と言われても、それは必ずしも「永久にできない」という意味ではありません。骨再生医療の進歩により、以前は治療が難しいとされていたケースでも解決できることが増えています。
特にPRGF療法をはじめとする最新の骨再生技術は、インプラント治療の可能性を大きく広げています。患者さん自身の血液から抽出した成長因子を活用するPRGF療法は、安全性が高く、治癒期間の短縮にも貢献します。
東京BTクリニック歯科・医科では、PRGF療法を用いた骨再生医療とインプラント治療を提供しています。他院でインプラントができないと言われた方も、ぜひ一度ご相談ください。
詳細は東京BTクリニック歯科・医科のウェブサイトをご覧いただくか、お電話またはWEB予約にてお問い合わせください。

著者情報 医療法人社団誠歯会 理事長 歯学博士 東京BTクリニック 歯科・医科 加藤 嘉哉 YOSHIYA KATO 【経歴】 東京歯科大学 総合歯科 東京歯科大学 インプラント専門外来 医療法人誠歯会 加藤歯科クリニック 開業 日本大学松戸歯学部非常勤講師 【資格・所属学会】 PRGF-Endoret® 指導医、公認インストラクター 日本口腔インプラント学会 専門医 日本臨床補綴学会 専門医 日本歯周病学会 認定医 IDIA顎顔面外科矯正 指導医 日本睡眠学会 日本睡眠歯科学会

